"Basic"を底に置く

 

『基本』言い換えるならば当たり前のこと。例えば日本人は基本的朝昼晩3食ご飯をたべる。食べることは人として当たり前の行動である。では仕事ではどうか。毎日同じ仕事を繰り返せば仕事はこなせるか。そういうものかもしれない。しかしその繰り返しの中に自分の中できちんとしたシミュレーションがあるかどうか。ここがポイントなのではないか。

 

宇宙での生活は特別なものであることは間違いがない。行ける者も限られている。自分たちの命は自分たちで預かっている。そして少しのミスが命取りにもなる。そんな生活の中で何を大事にしたらよいのか。それは常に“基本に戻る”ことである。基本に戻り、常に冷静な気持ちを保つのだ。焦りで答えを出すことは一番危ないこと。1人1人が自分含め、残り3人のクルーの命を預かっているのだから

 

基本に返るという言葉自体は簡単。しかしこれにも練習が必要である。いざ問題が発生したらどうか。そのときに広い宇宙の中でこの狭い空間に閉じこもってしかいられない人間がどう対処するか。絶対に焦らずにいる自信はあるか。

 

 

要するにそういうことだ。「当たり前のことを、どんな状況であっても当たり前にすること」がどれだけ難しいのか。わたしたちは宇宙の生活で学んでいくのである。そしてそのリスクを減らすため、わたしたちは考えて、事前に何度も確認。準備をする。

 

もう一度「当たり前」とは何だろうと思考を巡らせる。

ジャーナリスト 高階美鈴