1日の始まりは朝ではない?

 

SIMとはシュミレーションと言う意味である。しかしここではS(SHIRASE)I(ISOLATED)M(MAN)の略ということにしよう。ISOLATEDはISOLATIONつまり「隔離」という意味である。宇宙船という隔離された空間で過ごす2日目が始まった。地球ならば太陽が昇り、眠りから覚めたら一日が始まるという感覚であろう。しかしこの宇宙船は違う。明確に朝という時間は存在しない。それはどういうことなのか。

 

 

宇宙船(SHIPCOM)のクルー達は毎日AM10:00‐PM12:00に地球の管制室(CAPCOM)と定時交信を行う。この交信でEVA(宇宙船外活動)を行うかどうかなどの重要な決定も行われる。この1日の中の2時間という貴重な地球との連絡がこの宇宙空間での一日の始まりとなる。そのため、起きたら一日の始まり=朝という概念もない。この不思議な感覚は体験なくしてわかることはまずないであろう。


EVA-船外活動トレーニング

 

SIM#02早速実際宇宙服を着ての船外活動トレーニングが始まった。この宇宙船に来てから初めて宇宙空間へ足を踏み出した。人間は本来宇宙に住むために生まれたのではない。だから宇宙船という鉄の塊に守られながら生活をしている。しかし、その生活を守るためにはこの居住区間のメンテナンスをする必要がある。その他緊急事態、実験はあったとしても目的もなく船外活動をすることはない。

 

船外活動において大事なことは時間である。宇宙服のバッテリーの持続時間は平均4時間。もって5時間というところ。開始時と終了時の時間の記録は勿論、宇宙船と宇宙の境、エアロックでの減圧、加圧の時間。バッテリーが何時の段階でどれくらいかなど、リスクの高い宇宙空間での活動はその記録が必要なのである。ライフラインともなる無線機も必需品。SHIPCOMとの連絡のやり取り、クルー同士の連絡のやり取りが重要になってくる。

 

 

わたしが初めて着た宇宙服は今まで感じたことのない、人間のフル装備というイメージの頑丈なスーツに生命を維持する空気を送るバッテリ―。なぜ普通には暮らせない宇宙空間で身を危険にさらしてさえも活動するのか。それはクルーたち自身の命の安全に関わることだから。ミッションはまだまだこれからが本番。

 

人の懸命に生きようする姿勢が見えてくるのではないか。    

ジャーナリスト 高階美鈴

 


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